2008.11.26生活機器設計論・演習

課題「すべり台」
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造形と機能

遊具としてのすべり台は、基本的には登る機能と滑る機能があります。その二次機能として、登る時に必要な機能として、安全を確保する・登りやすいといった機能が付加されます。また滑るときは同様に安全を確保する機能、立ち上がるための機能などがあります。

また、携帯電話などとは違い同じものを何台もつくるというよりも、プロトタイプをつくって、現場や状況にあわせて、カタチを変える場合やある公園のためにだけデザインする場合もあります。

裏面のような、分析や機能分けを行ない発想の補助や発想の漏れなどがないかをチェックしていきます。
設計やデザインの段階により、方法は様々です。また、方法の複雑さ単純さも様々です。

今日は裏面のような表の考え方を利用しながら、アイデアチェックをしてください。これはデザイン実務の経験から、FUNCTION・PERFORMANCE・EFFCTをベースに考える方法を示していますです。
FUNCTIONは機能です。満たさないといけない機能を人間の行為の観点から細分化していって、一番小さな要素を見つけます。
PERFORMANCEは性能です。要素をつくるためにどの程度何が必要かを考えます。
EFFCTは効能です。細分化して機能と性能を見つけただけではデザインにはなりません。なにをしないといけないか、人間の気持ちや思いまた、統合的に全体を考える過程をふまないとデザインにはなりません。
これら3つのことが線形に進むわけではありませんので、いったり、きたりしながら考えていきます。

また、重要なのはこの方法を使うことが目的ではないということです。方法を利用してデザインすることが大切です。

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造形について
造形とはカタチをつくること。
デザインにおける造形の基本といえる要素は多くない。
これまでの経験に基づき、極めて単純であるが有用と考える重要な造形の5つの考え方・方法を示す。

ディビジョン(分割) アキュムレイション(集積)
あるカタチとあるカタチを「加減乗除」(方法)「和差積商」(結果)で考える。

あるカタチとあるカタチを「和差積商」で考えた場合の例
あるカタチを足したり引いたりすることのパラメーターを変えて、それら結果の変化からカタチを探す。

あるカタチとあるカタチを「加減乗除」で考えた場合の例

二つの形の関係は、重なる、接する、離れる、からなり、それぞれどの部分を形(図か地か)として認識するか、そのような捉え方でカタチをみつける。





システム(秩序)
要素や部分のカタチを様々な方法で展開するがそれはぶぶんであって、全体を形成するためには秩序が必要である。
システム(秩序)をつくるシンメトリーの基本方法は移動・回転・鏡映・拡大の4つである。

よって、シンメトリーの概念的種類は15種類でとなる

移動、回転、鏡映、拡大、移動・回転、移動・鏡映、移動・拡大、回転・鏡映、回転・拡大、鏡映・拡大、移動・回転・鏡映、移動・回転・拡大、移動・鏡映・拡大、回転・鏡映・拡大、移動・回転・鏡映・拡大

シンメトリーの基本方法によるカタチの例



バランス
 安定と不安定
 停滞感と力動感
カタチはその相対的な関係から印象や意図が変わる。
バランスの観点から、配置による変化を練習するためには、定形と定形の関係、不定形と不定形の関係、一つの定形の角度による変化から、バランスの観点と意図したイメージによる造形のパタンを幾つも出すことが練習になる。

定形と定形によるバランス構成の練習

定形と不定形によるバランス構成の練習

定形(矩形)と定形(4つの異なる大きなの円形)によるバランス構成の練習

定形の角度の変化によるバランス構成の練習



プロポーション
 バランスと同様、全体と部分の関係を考える。プロポーション自体の捉え方は、ほとんどが以下の4つ。
最も重要なのはどことどこを美しく関係づけるかということ。
等差数列(絶対値による構成)等比数列(相対値による構成)
ルート比、黄金比などは基本的な幾何造形の方法


コントラスト
対比・対照・対立といった2つのモノの関係を考える造形要素


Aは線と空間(余白)とのコントラスト
Bは線と線の角度や矩形に対しての位置などのコントラスト
C線と円、黒と白のコントラスト
このように要素のパラメーターを設定し、その変化や差をつくることが造形要素としてのコントラスト。

その造形的コントラストのパラメータは、
直線ー曲線  明ー暗  凸ー凹  暖ー寒
水平ー垂直  大ー小  重ー軽  硬ー軟
透明ー不透明  滑ー粗  厚ー薄  光ー闇
鋭ー鈍  高ー低  太ー細  上昇ー下降
集中ー放射  強ー弱  ハイキーーローキー
動ー静  プラスーマイナス  新ー旧  速ー遅 など

またそれら二つを対比的に結ぶのが、ダイカトミー(二分法)段階的に結ぶのがスケールシステム(段階法)。



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 様々な造形論があり、いろいろな造形の要素がある。造形要素としては、平面と立体の差はあまり無い。
様々な造形要素の中で、デザインで考える造形要素は、
加減乗除」「和差積商」で要素をつくるディビジョン(分割) .アキュムレイション(集積)、
あるカタチとあるカタチを「加減乗除」「和差積商」、「移動・回転・鏡映・拡大」で秩序をつくる システム。
全体と部分の関係あるいは要素と要素の関係を考えるためのバランス、プロポーションコントラストで、充分であり、他にいわれている造形要素もほとんどこれで説明がつく。実際のデザインでつかわれ、デザイナーが意識して使っているのはこれぐらいである。

これらは個別で行なわれているのではなく、これら全ての組み合せにより造形されている。
これらの造形感覚の習得は、与えられた課題を数多く行ない、練習するにつきる。つまり、練習・経験で身に付くことである。(しかし、始めは一人でやっても効果はあまりない)

またこれら要素間の関係は相対的か絶対的かでも大きく異なる。また、デザインの場合は主観性・客観性の他に間主観性の3つの観点から造形を考えることも重要である。