2010.2.13 処方箋

まだまだこの段階。
やるべき事はたくさんあるはずだが、
やるべき課題や問題がなにかを専門性の高い職種ほどほど認識しづらい

病院や診療所ごとにルールが違う飲み薬の処方箋(せん)の書き方が統一される。患者自身がチェックできるぐらいわかりやすくするルールを、厚生労働省の専門家による検討会が定め、報告書にまとめた。同省はこれから、順次、現場へ広めていく方針だ。

 処方箋は医師法などに基づき、医師が薬剤師らに対してつくる文書。薬の名前、飲み方や量を書くよう定められているが、具体的な基準はなく現場任せが実情だ。

 同じ薬でも商品名で書く医師もいれば、その成分名を書く医師もある。書かれた量が1日分なのか、1回分なのかわかりにくい書き方も慣例化している。

 たとえば、現在の処方箋では、朝昼晩に飲む薬で「(薬の名前)×3」なら、毎回3錠ずつ1日計9錠になる。だが、「(薬の名前)3×」だと、毎回1錠ずつ1日計3錠の意味になる。

 報告書では、原則1回に飲む分量を明記し、完全な商品名(製剤名)で書くことにした。「1日3回に分けて」を意味する「分3」など略語や記号は避ける。×3の略語は1回3錠、3×は1回1錠に改められる。飲み方も「朝昼夕食後」「就寝前」など日本語でわかりやすく書く。

 また、小児用シロップ入り飲み薬などを調剤する場合、有効成分だけを示した原薬量なのか、シロップなどを含む製剤の全量なのか明確な決まりはないが、今後は原薬量か全量かきちんと明記する。

 医療現場では略語などの区別が明確でなかったり、新人看護師や薬剤師に徹底されていなかったりして、量を過剰に出したり、間違った薬を投与したりするなど医療事故の原因の一つになっている。素人にもわかるように書くことで、新人が見ても間違いがおきないようにするという。

 一方、処方箋とは別に、薬を渡す際に患者、看護師にわかりやすいよう、独自の「処方情報紙」を出している薬局も多い。今回のルール化では処方箋でも情報紙並みのわかりやすさにして、患者が薬局に処方箋を渡す前に、薬の内容をチェックできるようにする狙いもある。

 処方箋との関係は明らかでないが、日本医療機能評価機構のまとめでは、2008年の薬に関する医療事故は、全国から報告があった分だけで計92件、事故になる前に気づいた例は約5万8千件あった。

 厚労省は今後、数年かけて処方箋に使う用語の標準化をする方針も固めている。

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