2010.2.7 回生ブレーキとABS

いろいろ話題になっているプリウスのブレーキ
2月4日 トヨタ横山裕行常務役員の説明は以下

「一定の踏力で軽いブレーキングを続けた場合、路面の状況によっては、ブレーキの反応がわずかに遅れるという現象」

「雪道などでガガガッと車輪が動く経験などでご存知だと思いますが、ABSは車輪のロックを防止するために、ブレーキを一時的に緩めるという機能を持っている。この時(新型プリウスは)回生ブレーキを油圧ブレーキに切り換わった時に時間差が生じる。そこでいろいろなお客様からご指摘をいただいているのが”空走感”。短時間ブレーキが利かなくなることがある」

「油圧ブレーキと回生ブレーキ(電気モーターで発電を行い、その抵抗で減速する機構)の協調制御の問題。限られた状況下でブレーキ抜けはあるが、踏み増せばちゃんと止まる。素人的には違和感を覚えるかもしれず、1月にはプログラムを改良した」


自動車のことも制御のことも分からない素人の感想だが
・まずABS操作は、頭でわかっていても使いこなすにはむづかしい。教習所でも教えていた記憶はないし、そもそもメンタルモデルとあわない技術なので新たな技術的教育が必要なはずだが。
エンジンブレーキすらよく分からない人が多いのに、油圧ブレーキと回生ブレーキが云々といってもそれはユーザには関係ない事のはずである。
切り替わったときに時間差が生じることが問題ではなく技術の結果と考えているのであれば、それは設計思想の改善が必要なのではないだろうか。

大変な高度技術をもったりっぱな製品なのだから、もう少しユーザーにわかりやすい設計思想やインタフェースそして伝えるための説明が必要ではないだろうか。

そもそもガソリンエンジンにおける自動車のインタフェースはとてもすぐれており、メンタルモデルとも合致し、20世紀の最も優れたインタフェースの一つといわれていたが、ハイブリッドや電気自動車になった段階で、大きくインタフェースを変える必要があったのだろう。それを変えずにコアの技術だけ変えてしまった。タイヤのついたコンピューターではなく、命をまもるタイヤの付いたコンピュータなのだから。

技術と人間とシステムのこの関係は、尼崎の脱線事故を想起させる。要素エンジニアリングはきわめて高く安全なのにシステムになった段階で様々な課題が発生する。

カーデザイナーがもっと技術の発展のさせ方や使い方を誘導しデザインすべきである。