2008.10.31 独自開発のエアクッションを搭載した椅子

http://www.kokuyo.co.jp/press/news/page_img/20081027_01.jpg

http://www.kokuyo.co.jp/press/news/20081027-875.html

山中俊治さん

ITのデザインに欠けているもの

 それはデバイスなどの技術的な問題でもあるし、デザインの問題でもありますが、要はITの可能性に対して、「手に触れる」ことの意味がこれまで充分に議論され、表現されてこなかったからだと思うんですね

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/NPC/20060921/248606/

デザインというのは一般的には色、形を決めることだと思われていますが、本来のデザインは、自然科学の応用である物作りの、特に発想寄り、計画寄りの部分を担っていると思うんです。

人間は自然から学んだ自然科学を応用して、自然にはない環境や物を作ってきました。それは人という種がはじめから持っていた特性であり、人間の存在意義そのものだったりもします。

しかし、当たり前のことですが、自然科学の応用は、あくまでわかった範囲でしか有効でない。特に人間を相手にした物作りにおいては、私たちが自分自身についてどれほどもわかっていないために、自然科学だけを尊重して作っても、人は必ずしも幸せにはなれません。
自然科学は、得た知識を客観化して応用し、誰にでも使えるものにすることができますが、物と接したときに感じる心地よさ、美しさといった感覚や、高い精神性、文化性の領域については、ほとんどが未知の分野です。しかし、人間はもうひとつの物作りの方法を持っていて、それが芸術なんです。

芸術は、人と自然、あるいは人と人との間に起こる不思議な感情を、作品という形で再現しようとします。その芸術の方法を使うことで、人と物との間のポジティブな感情をいいかたちでコントロールすれば、産業に利用することができます。デザイナーというのは、その、自然科学と芸術という2つの方法を駆使して、接点を見つける仕事だと思うんです。

特に最先端の物は、自然科学も未知の領域に挑む工業製品ですから、それを人にうまくフィットさせる方法も未知の領域です。自然科学の応用として実現される性能や、安全性、耐久性に、芸術の応用である手触りの良さや美しさを同居させて、科学と芸術をひとつの物の中で調和させるのが、現代のデザイナーの仕事だと思います。

http://www.deepscience.miraikan.jst.go.jp/miraijin/new/01.php

など難しいことを、わかりやすく、そして、こねくりまわしがちな技術論や行為論など実際の人間活動やデザイナーが普段していること考えていることに基づきながら、本質を説明してくださる。